オール高知県産ワインの醸造スタート 今年も10月3日(とさの日)に新酒解禁!

| SHIKOQUE編集部
FacebookTwitterLine

まるで映画のような、「耕作放棄地をブドウ栽培で救う」石灰会社のワイン造りへの挑戦の物語です。


ブドウの栽培から醸造まで、すべて高知県内で手がけた『オール高知県産ワイン』の醸造が今年も始まりました。

ブドウの栽培に適さないとされていた高知で2021年に生まれた、待望の“地ワイン”。

醸造に成功したのは、石灰の製造・流通から研究・開発を手掛ける井上石灰工業を親会社にもつ「井上ワイナリー株式会社」(高知県香南市)です。

https://www.tosawine.com

井上石灰工業は、石灰の需要が高まった明治初期の1884年に誕生。1920年には県下トップの施設を持つ石灰製造会社に成長しました。

そんな企業がなぜワインの製造を始めたのでしょうか。

●地域貢献

石灰といえば、名門ワインの産地・ブルゴーニュ地方の石灰土壌が世界的に知られてます。

高知には勝るとも劣らない石灰の土壌があるのだから、ワイン作りをすることで地域に新たな産業を創出し、恩返しができるのではないか。

ブドウ栽培を通して耕作放棄地の活用や高齢者雇用を生み出せれば、地域農業を活性化することができるのではないか。そんな思いから、ワイン造りがスタートしたのです。

●石灰を使った農薬「ボルドー液」をヒントに

フランスで1885年に誕生した石灰を使った農薬「ボルドー液」を同社で製造をしていたことも、ワイン作りを身近に考えるきっかけでした。

最初にブドウ栽培を始めたのは、石灰が産出される山、香南市山北。温暖な高知県でのブドウ栽培は簡単ではありませんでした。試行錯誤を繰り返すこと、約10年。2021年秋、ようやく完全高知産ワインの醸造に成功したのです。

現在、畑は香南市のほか、香美市や土佐町、梼原町など高知の中山間エリアに広がっています。耕作放棄地を使い、高齢者雇用も進んでいます。まさに「ワイン」という高知の新産業の台頭によって、同社が目指す「持続可能な地域農業」の形が回り始めました。

【高知の新たな新名所「のいち醸造所」】

香南市の中心部・野市(のいち)の町並みを見下ろす三宝山の高台に、カフェとショップを併設した井上ワイナリーの新しい醸造所「のいち醸造所」が2022年4月にオープンしました。

ワイン各種を試飲・購入できるほか、ブドウ畑のある県内5市町の食材で作ったグロサリー商品やスイーツ、ハンドルキーパー向けのノンアルコールワイン、ソフトドリンク、ソフトクリームなども販売。高台にあるワイナリーからの眺望は抜群で、ウッドデッキのソファーで寛ぎながらワインを味わえます。連日、多くの来客で訪れており、新たな観光スポットになっています。

https://www.inoue-winery.co.jp/access.htm


地域への想いがギュッと詰まったワイン。味わいもきっと格別ですね。

2023.09.14 / 一般財団法人高知県地産外商公社
FacebookTwitterLine