- 今回の紹介者
- 職業/写真家
高橋 宣之
Nobuyuki Takahashi
1947 年高知県生まれ。1973 年よりフリーランスの写真家となり「波」「花鳥風月」「仁淀川」などをテーマにしてフィールドにレンズを向ける。以降、海や川などの水系を撮る写真家として現在に至っている。最近は動画撮影にも力を入れ、NHK「仁淀川~知られざる青の世界」等で映像を発表している。
私の場合、仁淀川の上流部(愛媛県)を除けば、基本的に高知県からあまり出ません。そういうわけで、四国全般についてお答えすることができないのです。高知県のみで考えると、例えば、荒れ狂う太平洋の怒涛はこの上なく美しい異次元の光景。あるいは仁淀川安居渓谷のブルーの世界も絶品です。最初にこの渓谷のブルーを見たときは、ここで死んでもいいと思ったほどです。
大学のボート部などが練習したりしている風光明媚な海水浴場「ヤ・シィパーク」その近くに、「栄楽」というお店があります。ここのあわび飯とエビフライはめちゃめちゃ豪華でお勧めです。外国からくる友人知人はみんなとびっきりの笑顔になり、大喜びです。ウナギで言えば佐川の「大正軒」や、空港近くにある「かいだ屋」が有名です。高知市から仁淀川支流のにこ渕に向かうなら、「自由軒」のラーメンを食べて、デザートとして高知アイスクリンもいいのでは。
高知県のご当地パン、ぼうしパンでしょうか。麦わら帽子のような形をしていて、ぼうしの膨らんだ部分はコッペパン、ツバの部分は甘いカステラでできています。
ぼうしパンは、昭和30年ごろ、県内のパン屋さんがメロンパン作りの最中に失敗作として誕生しました。その偶然の産物が今も高知県民に広く愛されています。
四国山脈の背骨にある原生林(石鎚山系) に、大いなる自然のパワーを感じます。私は水系のカメラマンで、変貌する水の世界を長年追ってきました。美しい水を求めて山に入ると、結局は原生林に足を踏み入れることになり、苔むした巨木や倒木にレンズを向けています。湿度をおびた空気。揺れ動く木漏れ日。すべてが日常から離れた別世界です。清冽な水と、深い森は同意語のようなものかも知れません。
四国は海に囲まれた山国。平野部が少ない。いたるところに急峻の山が横たわり、それが文物の往来を妨げてきたように思います。高知県の場合それが顕著で、たとえば隣接するふたつの集落の文化や風習の違いを見て取れます。この孤立性、孤絶性こそが高知県の山間部の魅力になっているのです。四国四県で考えてみても、それぞれの県にはっきりとした特徴があり、この四色の色の違いこそが四国の魅力になっているようです。