映画「平成狸合戦ぽんぽこ」

| Tom40
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人間味溢れる狸たちの必死な生き様

「平成狸合戦ぽんぽこ」は言わずとしれたジブリの名作。この映画は、東京の多摩丘陵を舞台に都市開発を行う人間と、生きるために開発を止めたい狸たちの生き残りをかけた戦いのお話です。進む都市開発に棲家を失っていく狸たちは結集して、伝統的変化術の化学(ばけがく)の復興と人間観察により開発を止めようとします。その際、彼らが助けを求めて使者を送ったのが四国と佐渡。どちらも有名な狸伝説が残る場所です。
使者に選ばれた若手のイケメン狸、玉三郎が向かったのは四国阿波の国徳島。映画のモチーフにもなった阿波狸合戦の伝説が残るこの金長神社に、四国三大狸の伊予の隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)、屋島の太三朗禿狸(たさぶろうはげだぬき)、六代目金長(ろくだいめきんちょう)が集い、狸界の未来の為に多摩へ向かうことを決意するのでした。
狸を題材にした作品は他にもいくつかあるのですが、本物の人間よりも人間臭さを感じる狸たちに愛着や哀愁を感じずにはいられないものになっています。金長神社はそれらの作品の象徴とも言える場所で、推し狸の姿に思いを馳せるのに相応しいところです。ひょっとしたら新たな推し狸が見つかるかも。

平成狸合戦ぽんぽこ
© 1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH

作品情報
1994年(平成6年)にスタジオジブリが制作したアニメーション映画作品。昭和40年代、狸たちが暮らす多摩丘陵に都市開発計画が立ち上がり、彼らは徐々に棲家を失う。開発を止めるべく化学の復興と人間研究を掲げ、奔走する狸たちの様子を描いた物語。

キャスト・スタッフ
原作・脚本・監督:高畑 勲
企画:宮崎 駿
プロデューサー:鈴木敏夫
主題歌:上々颱風
<声の出演>
古今亭志ん朝 ⋅ 野々村真 ⋅ 石田ゆり子 ⋅ 三木のり平 ⋅ 清川虹子 ⋅ 泉谷しげる ⋅ 芦屋雁之助 ⋅ 村田雄浩 ⋅ 林家こぶ平 ⋅ 福澤 朗 ⋅ 桂 米朝 ⋅ 桂 文枝 ⋅ 柳家小さん
上映時間:約119分
配給:東宝
公開日:1994.7.16(土)

金長神社-社殿

作中:社殿で会議?に励む四国の長老狸たち

作中にも登場する金長神社の社殿。意外とこぢんまりしています。

昭和14年(1939年)に公開された映画「阿波狸合戦」の新興キネマは当時倒産の危機にありましたが、映画の大ヒットで息を吹き返します。そのお礼として、同社は日峰神社の境内に金長神社本宮を創建。その後昭和31年(1956年)、当時の社長であった永田雅一が100万円を寄付し、金長奉賛会を設立と同時に日峰山の南に金長大明神を建立しました。

ご利益は商売繁盛、芸能上達

金長大明神の由来が書かれた額

この金長神社、ご利益は商売繁盛と芸能上達。建立にまつわる新興キネマ(後の大映)の話もありますが、それ以前に阿波狸合戦に登場する「大和屋という染物屋を営む茂右衛門というものが人に虐められる狸(金長)を助けたところ、大和屋の商売がどんどん繁盛し始めた」という逸話によるところが大きいのです。この「阿波狸合戦」は知れば知るほどよく出来た説話で非常に面白いです。金長神社にもこのお話の狸相関図が掲示されているのですが、すごく細かい!四天王とか出てくるので、ぜひ見て下さい。

少し離れた場所にある本宮

日峰山麓の参道
金長神社本宮

作中でも描かれる金長神社の社殿から少し歩いて日峰山の麓に進むと、金長神社本宮への参道があります。階段を上ると金長神社本宮が。前述にあるようにこっちが先なんですよね。目に触れる機会は少ないですが、玉垣にも「新興キネマ」の社名があります。

ついでに寄りたい六右衛門大明神の穴観音

六右衛門大明神
津田狸の砦、穴観音
ドヤ顔の信楽焼六右衛門

金長神社を訪れたついでに寄っておきたいのが、金長の師であり宿敵、津田の六右衛門を祀った六右衛門大明神。阿波狸合戦で六右衛門側が砦としていたといわれる穴観音という洞窟もあります。罰が当たりそうで中まで入っていませんが、その名の通り奥には観音様が祀られているそうです。それにしても鳥居に書かれた「四国総大将」の文字、六右衛門が阿波狸の総大将なのは間違いないのですが、四国とはまた大きく出たもんです。ここにも見栄を張る狸の人間っぽさが出ていてほっこりしますね。見よ、この信楽焼のドヤ顔。

四国には狸の史跡がいっぱい

四国には、怪異といえば狸という程数多くの狸伝説が残されており、伊予(愛媛県)の刑部狸(ぎょうぶだぬき)、屋島(香川県)の太三郎狸(たさぶろうだぬき)をはじめ、狸にまつわる面白い説話が数多くあります。筆者の実家(香川県)にも狸を祀る祠があります。それぐらい四国の人々にとって、狸は親しみのある、それでいて畏れの対象でもある、不思議な魅力の生き物なのかもしれない。現代作品を通して四国の狸に興味を持った方は、狸伝説を追って四国各地を巡るのも面白いかもしれない。

作中:お祭り騒ぎの狸たち

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Tom40
香川生まれ香川育ち。バスケ観戦とゲームが趣味。 地元大好き人間ですが、インドア派なので数十年住んでいる今でも新たな発見があります。
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