- 今回の紹介者
- 職業/阿波和紙製造
中島 茂之
Shigeyuki Nakashima
徳島生まれ。1300年の歴史をもつ阿波和紙を作る最後の一軒である藤森家を中心に設立され、ブランド総称でもあり発信拠点でもある Awagami Factory の次代を担う工場長。体育教師を目指して東京の大学に進学後、靴職人の夢を追い英国へ留学。帰徳後は知人の靴店に勤め、運命的にAwagami Factoryと出会い入社。東京企画室の新設、勤務を経て一度退社するも再び和紙の世界に戻ったバイタリティー溢れる経歴の持ち主。紙漉きの技術をもたらした“忌部(いんべ)”の文化に誇りを持ち造詣も深い。
ユーザーの要望に応えるため開発研究する“頼まれたら断らない”信条が、インクジェット用やファインアート用などの多彩な阿波和紙を作り出した。経営理念に「明日の文化」とあるように、守るだけの伝統産業ではなく次の時代を見据えて変革していくことを大切にしている。インターネットの普及に伴いAwagami Factoryの魅力は世界に広がり、取り扱い先は60カ国に上る。海外の世界的アーティストとのコラボレーションも数多く信頼も厚い。絵画や古文書の修復にも適していることから、2022年にはウクライナ国立歴史公文書館にアワガミを無償提供。2020東京オリンピック・パラリンピックエンブレムの制作者、美術家・野老朝雄氏が生み出した“野老折鶴”をアワガミで折るプロジェクトも立ち上げた。アワガミを徳島から世界へ羽ばたかせている。
自分のルーツがある、徳島県の海陽町です。実は海陽町は、日本で一番自殺者が少ない町として取り上げられたことがあるんです。とにかく人が温かくて、海沿いの町なので生活に自然が近い。そんな環境だからかなと思います。自分にとってずっと特別な場所です。
友人の永原レキくんが経営する藍染スタジオin Betweenbluesに立ち寄ってください。
もう一つは、忌部(いんべ)※の文化圏です。穴吹町とつるぎ町は世界農業遺産に登録されていて、その農法が見られるの場所の一つに家賀集落があります。山の斜面に作られた石積みの畑で、2000年前から傾斜地農耕システムが行われていたんですね。簡単に言うと、化学肥料不使用・無農薬・水やり不要の農業です。阿波の青石(緑泥片岩)から出来た肥沃な土で栽培した茅を刈り取って、円錐状に積み上げて発酵させると“肥ぐろ”と呼ばれる肥料になるんです。肥料はこれだけ。標高が高く、寒くて虫も付き辛いので農薬は不要、雲が降りてくるので水やりも不要。昔の農法ですが、今の農業の課題に繋がっていますよね。家賀は山の上ですが閉ざされているような場所ではないんです。山に登っていく途中にある三方開きのお堂には、共存共栄、誰でもいらっしゃい、という想いが込められています。集落の方達が新たに食用藍の栽培に取り組んだりもされていますよ。※古代より朝廷の祭祀を担当していた名門氏族
海陽町の清流海部川の上流にある轟九十九(とどろききゅうじゅうきゅう)滝です。大小さまざまの美しい滝を見ることができます。奥に鍋割神社という小さな神社があります。ここに来ると、山と海の繋がり、僕たちが住む地球の水や生命の循環を知ることができます。日々の生活から離れ、エネルギーをもらえますよ。手前にある轟の滝から40分ほど歩きますが、ハイキング気分で行ける場所だと思います。
つるぎ町の家賀集落からの景色を見ると、昔の人がなぜ山に住んだのかがよく分かります。山間から吉野川が流れていく様子がきれいに見渡せるのでとても気持ちが良いいです。集落の方達はこの土地を「ソラ」と呼んでいます。ソラの土地に立つとエネルギーをもらえるし、殿様になったような気分になれます(笑)
阿波市のアワシャンティさんです。地元の食材を使った美味しいインドカレーを食べられます。2つのカレーをあいがけすることも出来て、ワンプレートにごはんと揚げナンも付いて来ます。阿波市に移住して来られたオーナーさんもとても良い方ですよ。
吉野川市の江川鴨島公園の近くにあるお食事処 青柳さんは、知る人ぞ知るボリュームランチを出すお店です。江川湧水のほとりにあるので、川の景色を眺めながら食事ができます。ランチもさることながら、夜は突き出しとしてもつ鍋が出て来たりするんです。小鉢に分けてではなくて、鍋ごと。すごいですよね。
同じく吉野川市にあるテイクアウトのお店のTOGO DELI KITCHENさんも美味しいです。目にもキレイな惣菜を買って帰って、お酒と一緒に食べたりするのにピッタリだと思います。惣菜だけではなくお弁当もありますよ。
お隣の香川もそうだと思いますが、徳島の人も鶏をよく食べます。東京から徳島に帰って来て、一番好きな鶏料理のお店が鳥新中央通り店さんです。親鶏を「かた」、ひな鶏を「やわ」と言って、僕は「かた」が大好物です。事前に電話予約をしてテイクアウトできるのでオススメします。
吉野川市にある忌部神社です。来客に、歴史的な案内をする時はお連れします。忌部神社のご神紋は麻です。吉野川市は元々、麻植(おえ)郡と呼ばれていました。名前の通り、繊維として麻の発祥の土地で、古代の忌部氏は徳島の麻の種を持って全国に広めたとされています。現在でも天皇陛下が交代される時に執り行われる大嘗祭では、この神社で織る麻織物、麁服(あらたえ)が調進されます。大きな神社ではないですが、徳島の文化や歴史に触れられて面白いと思います。
北海道、本州、四国、九州、沖縄という日本のなかで四国だけ「国」とついていて、八十八ケ所巡りなどの独自の文化、自然に触れられるところがとても多いです。ゆっくりとした時間の流れや、いい食べ物がたくさんあって、ひとがやさしい。徳島で言うと、阿波踊り、私たちのような工芸、食、全部が文化で繋がる。これは貴重なことだと思います。つくづく、徳島はいいなぁ、四国はいいなぁと思います。
徳島には豊かな文化、自然や食を体験できる場所がたくさんあります。その一つとして、ぜひアワガミファクトリーに遊びに来てください。紙漉き体験ができますし、藍染和紙や世界中で使われている色んな種類の和紙を制作している工房が実際に見えられるのはここだけです。お待ちしています。
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