- 今回の紹介者
- 職業/INOW Program メンバー
Kana Watando
渡戸 香奈
Sil Van de Velde
シル ・ヴァンデヴェルデ
2003年、自治体として国内初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を打ち出した徳島県上勝町で、2020年から新たに開始した上勝町滞在型プログラム「INOW(いのう)」。サステイナビリティとツーリズム・マネジメントの修士課程を修了したカナダ出身のカナとベルギー出身のシルは、INOWプログラムを通じて環境や文化の保全と再生を目指す。気候変動対策や持続可能な開発、そして教育に深い関心を寄せる二人は、80%を超えるリサイクル率を誇る上勝町で、上勝の魅力を発見する架け橋として貢献している。
■ INOW [ 公式サイト ] [ Instagram ]
■ ゼロ・ウェイストセンター [ 公式サイト ] [ Instagram ] [ Facebook ]
■ ZERO WASTE TOWN Kamikatsu [ 公式サイト ]
ここ上勝町の「ゼロ・ウェイストセンター」です。上勝に観光で来る人はゼロウェイストに興味がある方ばかりです。建築デザインもとても面白いし、この町の取り組みが十分に表現されていると思います。サステナビリティについて考えるには出発点としてすごくふさわしい場所です。
上勝町の八重地という場所でお米を作っていますが、その八重地の棚田がとても綺麗です。そこでは田植えを経験したことがないお客さんを招待してみんなでお米を作っています。海外の方が上勝に興味を持ってきてくれることは嬉しいですね。彼らが感じるアクセスや言語の壁を取り除いて、“地域の人とのつながり”を提供できることがゼロウェイストの価値かな、と思います。
アクセスについて言うと、上勝町には“ボランティアタクシー”というライドシェアサービスがあって、地元の人が自分たちの車を運転してタクシーとしての役割を担っています。上勝のような山奥のエリアは四国の中でも特にアクセスが不便ですから。高齢者だけでなく、観光客にとってもみんなが快適に行き来できるように、地元の人たちで頑張っています。とてもユニークな取り組みですよね。四国にどのくらい同じようなサービスがあるかは分からないですが、ドライバーの数は上勝が一番多いそうですよ!
おすすめは上勝町にある「Cafe polestar」です。オーナーである輝実さんと一緒に私も働いていますが、季節を感じられる地元の美味しい野菜を使っていて、すごく優しい味の料理が食べられます。私はコーヒーが好きなんですけど、ここは上勝で唯一コーヒーを楽しめる場所なんです!
お気に入りは阿波晩茶です。自分でも作っていますが、とても珍しいお茶なのですごく好きです。お茶そのものとしても魅力的ですし、製法が今に受け継がれていることにも特別さを感じます。普通の緑茶と違って、阿波晩茶の場合は茶葉がきちんと成長した7月頃に収穫します。なので“ばんちゃ”の文字も普通の“番茶”ではなく“晩茶”なんですよ。阿波晩茶は、収穫した茶葉を茹でて揉んだ後1ヶ月ほど発酵させるという、日本では珍しい後発酵茶です。後発酵茶は阿波晩茶の他に、高知県や愛媛県にもあります。四国にはけっこう珍しいお茶がありますね。発酵の過程でカフェインも無くなるので、赤ちゃんからおばあちゃんまで、上勝の人はみんな飲んでいます。
場所ではないですが、日本のお祭りにはすごくパワーを感じます。上勝町にも地域のお祭りがあって、だんじりや神輿が練り歩いたり、お祭りそれぞれの特別な踊りもあります。上勝町には移住者もけっこういてすごくオープンなので、お祭りの時期は特別な雰囲気があります。そして徳島県といえば阿波踊りがありますよね。日本に来るまでは阿波踊りの存在を知りませんでしたが、今では毎年阿波踊りに参加できることが私にとってすごく意味のあることになっています。阿波踊りには徳島のプライドを感じますし、毎年とても感動します。とても美しくてユニークな行事です。
固有の場所でいうと、四国には滝がたくさんありますよね。紹介した棚田も美しい場所ですが、上勝町には百間滝(ひゃっけんだき)という滝があって、ここもとても素晴らしいスポットですよ。
外国人の視点で言うと、四国に旅行に来る人はまだあまり多くはありません。でも、それが逆にアピールポイントだと思うんです。地域の人たちはみんなオープンなのでここではつながりも生まれます。京都のような観光地を巡っても、そういうコネクションを作ることは難しいですよね。ほんの少し積極的に考えて四国に入れば、たとえそこが便利な場所とはいえなくても、だからこそすごく特別な経験が待っています。
ゆっくりと旅することはとても大切なこと。時間をかけて旅をするには、四国はまさにふさわしい場所だと思います。確かにいろいろと不便だしアクセスも悪いかもしれません。でももしそれを受け入れることができれば、地域のつながりや地元の食材もそうですが、何より温かくてフレンドリーな人たちに出会うことができます。Enjoy the slow journey!
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阿波晩茶
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